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CEP(経済優先度評議会)

所在地 ニューヨーク
訪問日 2000年 2月28日(月) 10 :00〜11:30
面接者 Mr. Thomas W. Knowlton(エグゼクティブディレクター)
Ms. Candyce Mason(マーケティング・コミュニケーション部長)

団体概要

経済優先度評議会(Council on Economic Priorities)は、CEP(セップ)と呼ばれ、日本でもよく知られている。企業の社会的責任に関し、格付け、ランキング、表彰などにより消費者、投資者向けに情報提供しているNPO(非営利団体)である。出版物は多数あり、会員1,500名、スタッフ18名、財政規模は年150億ドル。財源は、財団からの寄付が50%、会費が10-15%、出版収入が10%、その他、企業向けサービスなどである。(ホームページ:www.cepnyc.org

1.CEPの活動概要

 CEPはAlice Tepper Marlin女史が1969年に創立し、以来約30年間活動している。創立当時、ヴェトナム戦争にかかわっていない企業に投資したいという投資者の声に応え、ヴェトナム戦争に関係していない企業を調査して投資者に情報を提供した。

現在は次の七つの条件から企業を評価している。「環境」「労働環境問題」「寄付や社会貢献活動」「家族への福祉」「女性登用」「マイノリティの登用」「情報公開」の七つである。特に「フォーチュン500」に載るような大企業を対象にしている。

情報提供の方法は二つある。まず、ショッピングガイドの出版があり、1988年から1994年まで毎年版を変え「Shopping for a Better World」を出版した。目的は、消費者に企業の社会的責任を評価した情報を提供することであるが、これがよく売れ、累計で100万部を超えた。今年4月には新しいバージョンができる。

もう一つは、他の団体とのパートナーシップにより情報を提供する方法である。例えば、フォーチュン誌と組んで、別冊で「マイノリティの登用」について大企業のランキングを発表した。これはフォーチュンの読者85万人に対する情報提供になる。また、ワース誌でも1998年に社会貢献・寄付の実態を調査し、よく取り組んでいる50社の評価を発表した。これで、合わせて100万以上の人々に情報提供をしたことになる。

さらに、労働基準の評価に関して1997年に発表した国際基準があり、第三者の監査委員が監査しランク付けできることになったが、CEPAA という団体と提携してCEPのMarlin氏が監査委員の認定にかかわった。

また、CEPとして「Corporate Conscience Awards」という良心的な企業を表彰する制度を設けている。法律の遵守に止まらず前向きに取り組んでもらおうとの趣旨から、毎年6〜10社の先進的な企業を選別し表彰している。対象としては米国内企業だけでなく国際的な視野で、例えば富士ゼロックスなども選んでいる。

2.「Shopping for a Better World」での調査と格付け方法

CEPで最も成功した冊子で累計100万部以上を販売した「Shopping for a Better World」は、商品ではなく企業を社会的側面から評価して格付けするものである。主要300〜400社の企業について絶対評価ではなく、他社との比較で評価する相対評価を行っている。調査に基づいて点数を付け、業界ごとに上位から25%ずつの割合でA〜Dの4段階で格付けし、調査に協力しなかった場合は情報提供の項でFとか、「情報なし」のマークを付ける。

環境に関しては225のデータポイントに添って、できるだけ定量的なデータを使って客観的な評価にしている。環境に関して最もウエイトを高くしたのは「環境影響」の項で、全体の46%を占めている。データとしてはEPA(環境保護庁)のシステムにより、例えば、企業が毎年報告しているTRI(有害物質排出登録)のデータを使って何をどの位排出しているかについて業界別、企業別に評価している。

環境影響の他に「情報公開」「環境法遵守」「環境マネジメントシステム」の三つの基準があるが、ウエイトはそれぞれ10%、10%、35%である。情報公開は環境報告書のように企業自ら任意的、自発的に情報公開しているか、環境法遵守は連邦や州の法規に違反したことはないか、訴訟に巻き込まれたことはないかということである。環境マネジメントシステムはウエイトが35%と環境影響の次に重視している。仮に現在のパフォーマンスが良くなくても、システムがしっかりしていれば今後改善される可能性があり、将来に向かっての努力を評価することができる。

このショッピングガイドは、企業の社会的責任を評価して取り組みを促進しようとするもので、一番重要なことはどれだけ消費者やマスコミが取り上げてくれるかということである。前回の出版は1994年で終わっていたが、今年からまた毎年出すことに決めた。

これまでのバージョンについては、情報が多すぎる、もっと簡便に、もっと小さなサイズに、という読者からの要望が多かったので、フォーマットも簡単な表記方法に改め、買い物に持っていけるようにコンパクトな体裁にした。これによって多くの人々に情報が伝わることを期待したい。

宣伝も重要で、本の出版だけでなくいろいろな方法で情報を伝えたい。90年前半の盛りあがった時期には1,000から2,000の新聞、雑誌が内容を取り上げてくれた。今回もマスコミやパートナーシップ団体が記事を書いてくれるよう力を入れたい。

「Shopping for a Better World」での評価結果について、企業とコミュニケーションを取ることも重要である。個別企業からの求めに応じて、その企業の評価内容について情報提供をする「Performance Analysis Report」という報告書を作成・提供している(有料サービス)。フォーチュン誌の記事については、50〜60の企業からもっとランクを上げる方法は何かの問い合わせがあった。激しい競争のなかで上位のランクになりたいと求める企業があり、どうすればいいのかの情報提供をしていきたい。

今後は、企業の評価だけでなく、製造している製品の評価も加えていきたい。それによって、より総合的なデータベースと評価情報を人々に提供したい。中小企業情報を集めている団体もあり、商品の環境ラベルをやっているグリーンシールとの連携、海外の団体とのパートナーシップも必要と考えている。皆様方の活動もすばらしいと思う。

Q&A

Q1
今度4月に出る「Shopping for a Better World」には商品の評価情報は載るのか
A1
まだ載らない。その代わり、商品評価をしている関連団体のコンタクト先などを掲載してるか。
Q2
対象企業はどの位で、業種の区分はどうしているか。
A2
調査企業数は330から340社で、実際に冊子に載るのは250前後になる予定。これを23の業種に区分して掲載している。
Q3
業務をアウトソーシングすれば環境負荷は自動的に減るが、こうしたことを考慮しているか。
A3
サプライヤーなどまで溯って評価していない。今後の課題と考えている。
Q4
CEPが提供している情報のマーケットインパクトは測ったことがあるか。
A4
マーケットインパクトを測るのは困難。今は、どれだけの人が情報を見ているか、マスメディアに取り上げられたか、企業が社会的情報をどれだけするようになったか、などで効果を測っている。
Q5
障害者雇用について評価基準にしているか。
A5
現状ではそこまでは入れていない

【報告者:緑川芳樹(グリーンコンシューマー研究会)】

提供資料

  1. 「Shopping for a Better World」の企業評価基準—「環境」(別掲)(PDF)「職場問題」「女性登用」「マイノリテイの登用」「寄付」「家族の福祉」「情報公開」
    資料1(PDF) 「Shopping for a Better World」の企業評価基準—「環境」
    上記の「環境」に関するアンケート調査票
  2. 「The Corporate Report Card」—250社をレイティングした出版物(別掲IBMの頁(PDF)
    資料2(PDF) 「The Corporate Report Card」250社の評価の中からIBMの評価記事
  3. FORTUNE誌別冊「アジア人、黒人、ヒスパニックのためのベスト企業50」)
  4. Worth誌抜粋(「寄付の多い企業ベスト50」)
  5. 「Corporate Citizenship」
  6. その他リーフレット類

感想

Shopping for a Better Worldの出版再開は嬉しいニュースでした。「環境」に関するアンケート調査票の内容は前回より格段に幅広く詳細にわたっていましたが、米国でも企業の取り組みが進んでいることを示すものでしょうか。

投資者向けにShopping for a Better Worldと同様の視点で250社を評価した「The Corporate Report Card」は日本の企業研究者の話題にもなっているようですが、日本でもNPOによる企業の社会的責任評価の動きが活発になっていくことを期待したいと思います。(緑川)

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