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環境保護庁(EPA)

所在地 ワシントンD.C.
訪問日 2000年 2月29日(火) 14:00〜17:00
面接者 Ms. Holly Elwood(グリーン購入担当)、
Ms. Ewn-Sook Goidel(同)、
Ms. Jennifer.R.Dolin(エナジースタープログラム担当) 他

団体概要

アメリカ連邦政府の物品調達額は年間2000億ドルに上り、州・自治体を合わせると約1兆ドルになると推定されている。

1998年9月、クリントン大統領は大統領令13101号「廃棄物回避、リサイクル、連邦調達を通じた政府のグリーン化」にサインした。これは1993年10月に出された大統領令12873号「調達、リサイクル及び廃棄物抑制」に代わるもので、全ての連邦政府におけるグリーン調達の枠組みを定めるとともに、引き続き環境保護庁(EPA)にグリーン調達に関するガイダンスを策定することを求めた。  EPAはこれらの大統領令にもとづいて、いくつかのプロジェクトを並行して進めている。ここではその中から3つのプロジェクトを紹介する。ひとつが、日本でも導入されているエナジースター・プログラム、2つめが、「Buy-Recycled Program」と呼ばれる包括的物品調達ガイドライン(CPG)プログラム、そして3つめが、EPP(Environmentally Preferable Purchasing)と呼ぶ多面的な環境配慮を盛り込んだプロジェクトである。(各ツールはインターネット上で申し込むことができる)

1.EPPプロジェクト

1999年8月、EPAはEPPの柱となる包括的なガイダンスとして、数年越しの検討と産業界との調整を経て「グリーン購入に関する最終ガイダンス」(Final Guidance on Environmentally Preferable Purchasing)を制定した。これは次の5つの原則から成るものである。

  • 原則1:環境配慮は、価格や性能と並ぶ通常の購入要素の一部である
  • 原則2:汚染予防の考えに立って、購入の初期段階で環境配慮がなされるべきである
  • 原則3:ライフサイクルの視点から、多様な側面を考慮すべきである
  • 原則4:複数の環境影響を比較検討すること
  • 原則5:購入判断にあたっては包括的で適切な情報が必要であょ

↓ EPA「日本のGPNを紹介する
EPPニュースレター」
EPPUpdate
EPAはこのガイダンスの策定と並行して、実質的に政府機関でのグリーン購入を促進するために、様々な機関と協力してパイロットプロジェクトを各種実施している。プロジェクトでは、EPAはアドバイザー役を務めており、他機関で応用できるツールを開発している。またニュースレターや事例集などのツールを作成するなど、啓発活動も積極的に行っている。EPAでは各省庁と連携して、グリーン購入(EPP = Environmentally Preferable Purchasing)のパイロットプロジェクトが盛んに行われている。連邦調達庁とEPAによる清掃製品の環境情報カタログ作成、国防省とEPAによる駐車場メンテプロジェクト、国防省によるカフェテリアプロジェクトなどがある。またサービスに関するプロジェクトもある。EPAではグリーン購入を自主・自発的な取り組みとするためにも、パイロットプロジェクトは重要かつ有効と考えている。
(ホームページ:www.epa.gov./opptintr/epp/

1−1.洗浄製品プロジェクト
  1. 主体:連邦調達庁(GSA)、EPA
  2. 開始年:1993年
  3. 政府調達金額:6,241,000ドル(洗浄用/研磨用コンパウンド及び調整品)
  4. 概要:このプロジェクトは、EPPの最初のパイロットプロジェクトで、クリーナーなどの洗浄製品を対象にしたものである。まず、EPAが環境に配慮した洗浄製品に関するフレームワークと7つの指標を定めた。そして、GSAがメーカーに対し、各製品の7項目についての情報を自主的に提供することを要請した。これを受け、1998年3月、GSAは「商業用清掃製品供給カタログ」を発行した。カタログには、生分解性のクリーナーなどの環境特性一覧表が含まれている。一覧表で情報提供されている7つの環境特性は、皮膚に対する刺激性、食物連鎖に対する危険性、大気汚染性、芳香剤の含有、着色剤の含有、包装材などである。1998年、GSAは汎用清掃品の管理施設を移設したことにより、清掃品商業供給カタログの環境特性情報は更新されなくなった。
1−2.クリーニングサービス・プロジェクト
  1. 主体:内務省
  2. 開始年:1997年
  3. 政府調達金額:6,241,000ドル(洗浄用/研磨用コンパウンド及び調整品)
  4. 概要:1998年11月、内務省は環境に好ましい製品の供給を要請するために、窓清掃、トイレの備品供給業務などのサービス業者に対し、要求書を出した。これによって新しい業者を選ぶ際には業者の“グリーン度”が主要な要素のひとつとなった。5年間の契約は140万平方フィートの事務所をカバーしており、洗浄製品とあわせて、洗面所の紙、紙タオル、トイレットシートカバー、ゴミ袋などについて、再生材含有率などが評価された。
     クリーナーに関する必須条件としては、水質汚染物質がないこと、密閉型エアゾールスプレー缶を使用していないこと、既知あるいは潜在危険性のある発ガン性物質がないこと、処理事危険性のある廃棄性物質がないこと、などが含まれる。また、望ましい特性としては、肌、目、肺への影響が最小であること、生分解性であること、香料や染料がないこと、リサイクルできる包装材であること、などが指摘されている。
      1998年11月に業者との契約が成立し、現在は上記内容が実践されるよう、内務省は業者と共に取組んでいる。

2.エナジースタープログラム

アメリカにおけるエナジースタープログラムの対象製品は日本よりも幅広く、OA機器だけでなく、冷蔵庫などの家電製品から建設資材まで27分野に上っている。

【エナジースター対象分野】

コンピューター/コピー機/ファックス/モニター/複合機/プリンター/スキャナー/出入口サイン/屋根材/変圧器/洗濯機/皿洗い機/冷蔵庫/断熱材/窓/ヒートポンプ/エアコン/ボイラー/暖炉/テレビ/ビデオ/テレビデオ/照明器具 等

さらに、今後は業者向けに道路サインや自動販売機なども追加する予定である。

政府機関では、1993年からパソコンやプリンタについてはコストに見合う限り、エナジースター・ロゴ製品の調達が義務づけられており、ほぼ実行されていると見ている。99年6月からは全分野に義務づけが拡大され、購入実績について毎年調査し、確認していくことになっている。

EPAでは「エナジースター購入ツールキット」などを作成し、各州の自治体に配布してエナジースターの普及に努めている。またEPAの調査によると、消費者のエナジースター・ロゴの認知度は30%である。

ロゴこのエナジースタープログラムは国際的に広がっており、現在ではオーストラリア、ニュージーランド、台湾でも導入されている。また、カナダとEUでは導入を検討中である。

3.包括的調達ガイドライン

3−1.背景および経緯

1976年制定の資源保全再生法(RCRA:Resource Conservation and Recovery) の6002項において、EPAに対しリサイクル品の選定を要求するとともに、各省庁における購入活動をサポートすることを要求した。これによって通称「Buy-Recycled Program」が始められた。

93年10月の大統領令12873号「調達、リサイクル及び廃棄物抑制」に基づき、EPAはリサイクル製品に関する包括的調達ガイドライン(CPG=Comprehensive Procurement Guideline)とRMAN(Recovered Materials Advisory Notice)の作成を義務づけられた。CPGは、連邦政府、各州の自治体に対し、選定製品の調達を推奨したガイドラインである。RMANは、選定製品の再生材配合率を具体的数値で示したもので、それを上回る製品調達を推奨するものである。  EPAは素案を作成後、公聴会を開催し、産業界、公共団体およびNGOの意見を聞いて、その後内容を再度見直してガイドラインは公布された。

「CPG/RMAN」は2年ごとに見直しされている。「CPG/RMANⅠ」と「CPG/RMANⅡ」には8製品群、36製品分野が掲載されている。

さらに2000年1月には「CPG/RMANⅢ」が発行され官報に掲載された。「CPG/RMANⅢ」では新たに18製品が追加されて54製品分野となった。

■既存の製品群(8製品群)
  1. 紙及び紙製品
  2. 自動車用品
  3. 建設資材
  4. 輸送資材
  5. 公園及びレクレーション用製品
  6. 造園用品
  7. 紙以外の事務用品
  8. その他
■「CPG/RMANⅢ」で追加された18製品
  1. 建築資材:カーペットクッション、線路など
  2. 公園及びレクレーション製品:公園ベンチ、テーブル、設備
  3. 自然製品:コンポストなど
  4. 紙以外の製品(オフィス用):バインダー、クリップボード、ファイルフォルダー、ポートフォリオ、プレゼンテーションフォルダー
  5. その他:賞状と額、産業用ドラム、マット、サインなど

今後、さらに「CPG/RMAN Ⅳ」に盛り込むことを検討しているアイテムは下記のとおりである。

  • バイクキャリア
  • 床カバー
  • リサイクル自動車部品
  • 研磨剤
  • Limited use apparel
  • 屋根
  • ナイロンカーペット
  • 敷居斜面
  • オフィス家具
  • タイヤ

ENERGY STARCPGは公布後1年間有効である。各省庁はCPGの公布後、指定された製品分野の調達についてAPP(Affirmative Procurement Programs)に盛り込み、調達しなければならない。APPとは、各省庁におけるグリーン購入促進戦略のことで、優先プログラム、プロモーションプログラム、再生材配合率の認証、効果測定プログラムの4つの要素から構成される。大きな連邦機関は実績を報告する義務があり、他の機関も情報を保管しておく義務がある。(ホームページ:www.epa.gov/cpg/

4.ロナルド・レーガン・ビルディング

↓ EPA「ロナルド・レーガン・ビル」
↓ EPA「ロナルド・レーガン・ビル」
ワシントンの官庁街に通称「ロナルド・レーガン・ビルディング」という新庁舎が建設された。このビルにはEPAの部局も入居を開始しており、グリーン購入を実践してつくられたモデル的な建物である。  実際には次のような実践が見られる。

  • 低VOCのペンキの採用
  • 天井に25%再生材を採用
  • 効率のよい低水銀の照明の採用
  • 持続可能な森林から伐採した木材の利用
  • 環境に配慮して非塩ビの壁紙を採用
  • タイルに85%再生材の製品を採用

5.EPA作成のグリーン購入事例集「Privatr Sector Pioneers」より

5−1.ワーナーブラザーズ

ワーナーブラザーズでは資材調達が環境に与えるインパクトにつながるということを認識している。環境配慮型の資材調達が、廃棄物削減、資源保護、汚染予防、ひいては社員の健康維持に役立つと考え、その仕組みを構築しリーダー的な存在となるべく、活動している。

○環境配慮型、資材調達選定基準には次の事項が含まれる。
  1. 消費後のリサイクル率の高さ
  2. リサイクルの可能性
  3. 耐久性・再利用性
  4. 梱包材の使用量減
  5. 製品中の有害化学物質の削減
○製造元の判断基準
  1. 供給元に対し、環境配慮型製品の強化を取引契約の条件とする。
  2. 供給元に対し、より一層の環境配慮型製品開発を促す
  3. 梱包材の削減への、柔軟な対応
  4. 環境保護を考慮に入れた製造活動(汚染や毒素から従業員が安全に守られているか)
○社内コミュニケーション、養成、教育
  1. 資材調達での決定事項と量とコストに関する、詳細情報の役員への伝達
  2. 従業員及び、資材調達スタッフへの教育と情報伝達の徹底
  3. 全ての入札プロセスに環境配慮型の判定基準を盛り込む

↓ Privatr Sector Pioneers
Privatr Sector Pioneers
入札過程においても、建設及び解体業者に対する選定基準として、建築資材の回収とリサイクルをはじめ、有害廃棄物の取り扱い、排出量の報告を義務付けている。

加えて、ワーナーブラザーズでは、新規建築や修復工事の請け負い業者に対する入札条件に、省エネだけに限らず、再生資材、無害の建築資材使用の促進等、より具体化した要求事項を設けている。

5−2.パタゴニア社

オーガニックコットンの衣料を扱う、パタゴニアでは、ライフサイクルアナリストによる製品の環境配慮の重要性をアピールすることにより、製品の競争力を強化している。

水溶性のコーティング材の使用は、繊維の発色性、耐久性の向上につながる。それに対し、パタゴニアでは、次の理由によって有機系のコーティング材の使用を続けている。

確かに水溶性のものは、VOCや有害物質の削減につながるのだが、パタゴニア独自の基準からすると十分な耐久性には欠ける。環境的な視野に立つと、有機系コーティング材使用による耐久性こそが、環境配慮とパタゴニアはとらえている。
彼らは、製品の環境配慮とその機能性(耐久性など)として求められることとは、相互関係があると信じ、取り組んでいる。

5−3.サンマイクロシステム社

サンマイクロシステム社サンマイクロシステムにおいては、グループ会社各社で所属部門名入りの文房具を使用していたが、レターヘッドには、「サンマイクロシステム」社名のみに変更。一回の発注量500シートから、少量の発注に変更した。

これにより、それまで人事異動の度に発生していた大量の廃棄物の削減につながり、レターヘッドの見直しによって、リサイクル紙混入のレターヘッドの発注を止めた。

さまざまな、リサイクル製品の選択肢がありながらも、リサイクル紙の入っていない普通紙の使用を続けている。

【報告者:岡野美樹(NEC)】

視察先

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