HOME > 優れた取り組み・事例 > 海外のグリーン購入調査 > ケラー&ヘックマン法律事務所(Keller and Heckman LLP)

ウォルマート社

所在地 カリフォルニア州ロサンゼルス郊外(City of Industry)
訪問日 2000年 3月 3日(金) 14:00〜16:00
面接者 Ms. Cherie Dubrow(グリーンコーディネーター)

企業概要

↓ウォルマート正面
ウォールマート
ウォルマートは全米最大の規模を誇る小売企業である。業態はディスカウントストアで、さまざまな日用雑貨、衣料品、電器製品、おもちゃ、生鮮食料品を除く食品などを扱っている。もともと各地の中小都市の郊外に出店し、地元密着型の経営で急成長してきた企業である。

ウォルマート正面ウォルマートは環境問題に積極的に取組んでいるが、特に環境対策を徹底した環境デモンストレーション・ストア(以下、エコストアと略)をいくつか出店している。今回訪れたのはそのひとつで、面積13万平方フィート、従業員350〜400人の郊外型大規模店である。以下、その概要について紹介する。

ウォルマートのエコストアの特徴は、環境保全のために店舗全体で自然の力を有効に利用し、リサイクルを積極的に取り入れて営業活動の原価を削減し、それを顧客に還元するというシステムである。

1.エコストアの目的

  • 店舗全体として環境レベルを改善する
  • 技術的な経験を得ることで、ウォルマートが運営コストを削減し、それを顧客に還元する
  • 将来予想される環境規制に対応すべく、新たな技術の経験を蓄積する

2.施設における省エネルギーなどの環境配慮

店舗で消費するエネルギーは、通常の小売店の約半分で済んでいる。これは一般家庭200世帯のエネルギー消費量を節約していることになる。

1)スカイライト(天窓)
↓ウォルマート
「天窓から自然光を取り入れた店内」
ウォルマート「天窓から自然光を取り入れた店内」
ウォルマート「天窓から自然光を取り入れた店内」屋根に180個の特殊な高効率スカイライト(天窓)を取り付け、朝から夕方まで天窓から太陽光を集めて店内に取り込んでいる。この天窓は、昆虫の目のような形状をしており、店内の一点だけ眩しく(熱く)ならないように太陽光を拡散させている。また、断熱効果にも優れ、再生プラスチックを使用している。 これ以外にも通常の天窓を店舗全体に設置しており、熱をシャットアウトしながら光を取り入れられるようになっている。 センサーで継続的に外界から得られる光の量を測定しており、それに応じて照明器具を調整し、必要な光の量だけ得られるようにしている。
2)太陽エネルギー
屋根に設置したソーラーパネル288枚を使用した18kWの太陽エネルギーシステムにより、空調や器具に必要な電力を供給している。
3)蛍光灯
水銀の量を削減した蛍光灯を使用している。持続性に優れ、オープン以来4年間交換したことがない。
4)エアコン
従来の店舗では35〜40台のエアコンを使用していたが、ここでは大きな6つのエアコンでセンサーを使って集中コントロールしている。冷媒にはオゾン層を破壊しないHFCを使用している。
5)電気自動車の充電施設
↓ウォルマート「電気自動車の充電施設」
ウォルマート「電気自動車の充電施設」
550台の収容能力を持つ広大な駐車場の中でも、最も入口に近い場所に、電気自動車用のチャージステーションを設置し、充電できるようになっている。受付にてアダプターを来客に貸し出し、無料で充電させる。ウォルマートは現在のところ、アメリカの小売店の中で唯一、電気自動車の充電システムを持っている。
6)相乗り専用駐車スペース
同じように店の入口に比較的近いところに、「シェアライド・パーキングロット」がある。これは、従業員が複数で相乗り通勤している場合にのみ使える駐車スペースである。店の近くに優先スペースをおくことで、相乗りのインセンティブにしている。
7)その他
  • 駐車場では、ゴムなどのリサイクル素材のアスファルトで作っている。
  • 店内のマクドナルドでは、100%リサイクル可能なイス、100%再生材で作られたテーブル、25%再生材の包装材などが使用されている。
  • 店のカウンタートップは、新聞紙と大豆かすのリサイクル材を使用している。
  • 床のカバーはタイヤの再生材を使用している。
  • コンクリートブロックは、焼却灰(フライアッシュ)を使用している。

3.建築コストとランニングコスト

さまざまな環境配慮によって、店舗の建築コストは通常の5割増であったが、光熱費の経費としてランニングコストが30%ダウンできるため、オープンから1年半で元が取れている。

4.リサイクルの実践及び啓蒙

  1. 買い物袋の再利用:同店で購入した商品を持ち帰る買い物袋は、消費者が次回の来店の際に設置された箱に入れる。同店は回収した買い物袋を再度持ち帰り用にリサイクルしている。
  2. 空き缶の回収:アルミニウム空き缶を1パウンド(約454g)につき1ドル5セントで同店が買い取る。プラスティックの回収:1パウンドを5セントで同店が買い取る。
  3. 自動車用バッテリー:バッテリーにはデポジットシステムを採用。$5上乗せして販売し、使用済みバッテリーを持参すると、$5を返却する(交換工賃が免除になる)。新しいバッテリーを買う時には、汚染になる鉛を含むバッテリーの使用を止め、電気自動車に買い換えることを勧めている。

5.エコルーム

↓ウォルマート「エコルームの全景」
↓ウォルマート「エコルームの全景」
ウォルマート「エコルームの全景」店舗の入口脇にある「エコルーム」は、このエコストアの設備の説明及び展示や日常生活におけるエコの提案を行っており、消費者の教育と意識啓発を行うための施設である。特に、子供たちがどうすれば環境にやさしくなれるか、理解できるよう作られている。実際、よく子供たちが環境学習のために訪れる。広さは1200平方フィートもあり、木や石などのディスプレイを交え、次のような解説が行われている。

  • 天窓の設置による電気の節約
  • 古タイヤの床材を使ったリサイクルロード
  • パワードライ(トイレのジェットタオル)の設置による森林保全
  • 電子センサーによる蛇口やトイレの効率的な治水システムの採用
  • バッテリーのリサイクルと、無害な不凍液の購入提案
  • 細い穴をあけた再生タイヤチューブを使ったスプリンクラーで水の節約を提案等

↓ウォルマート「エコルームの中の様子」
↓ウォルマート「エコルームの中の様子」
ウォルマート「エコルームの中の様子」環境保全の意識を向上させる為、具体的に顧客や子供たちに情報や商品を展示し、教育的役割をユーザーと共に実践している。

6.販売している商品

環境に影響を与えないような商品を取り扱うようにしている。エコラベルの「グリーンシール」商品も積極的に並べている。また、アースデイにはエコ商品を一堂に集めて販売するイベントも行っている。取扱商品について、納入業者に特に要求しているわけではないが、ウォルマートが環境に熱心であることを知っているので、自然に持ってくるようになっている。

7.地域における貢献

  1. 地域の子供たちのチルドレン・ミラクルチームに奨学金を出し、病院や社会福祉にも補助金を出し協力している。
  2. 社員の持ち株制度を作り、社員を家族として扱い、自分の店という感覚を持たせる。

【報告者:清水和恵(ファイン)】

感想

以上のようにウォルマートは環境保全の啓蒙だけでなく、省エネ構造の建造物、ユーザーへのサービス、地域への貢献など、地球と人に優しさを与える方針を具体的に実現している21世紀に向かってのモデル的な店舗だと思います。 しかし、店頭においては食品の包装袋や大量に消費される消耗品などは、使用したあとのゴミ処理まで考慮された商品はまだ少ないように思えました。今後メーカーとの更なる協力と研究開発が急務であることを痛感しました。(清水)

視察先

←アメリカ・グリーン購入実態調査団(第3回)調査レポートに戻る