このガイドラインは、紙の印刷物をオフセット印刷※1)で発注する際に考慮すべき重要な観点をリストアップしたものです。
 「T.印刷物の仕様等について考慮すべき事項」と「U.発注先の事業者選定にあたって考慮すべき事項」の2部で構成されています。
 
ガイドラインに付属するチェックリストは、発注者と印刷事業者のコミュニケーションを促進するために具体的な配慮事項をリスト化したものです。(レベル1、2に分かれている項目については、レベル2の方が環境配慮の進んだ内容になっています)
 

第T部.印刷物の仕様等について考慮すべき事項

ガイドライン チェックリスト 背景説明
1.用紙

1)「印刷・情報用紙」のグリーン購入ガイドラインに沿って用紙を選ぶこと

□ 以下のパルプを多く使用している

 A)古紙パルプ
 B)環境に配慮したバージンパルプ※

□ 製造事業者が原料調達時に産出地の持続可能な森林管理に配慮している

□ 塗工量ができるだけ少ない

□ リサイクルしにくい加工がされていない

○ グリーン購入ネットワークでは「印刷・情報用紙」の購入ガイドラインを定めていますので(2005年10月改定)、それに沿って考慮します。(同ガイドラインが改定された場合、本項目も改定されます)

○ 使用するパルプ全体に占める古紙パルプと環境に配慮したバージンパルプの合計比率が多いことが望まれます。

※Bとは、
@ 全ての原料木材は、原産地の法律・規則を守って生産されたものでなくてはならない
A 森林認証材、植林材、再・未利用材などからつくられていること
B 塩素ガスを使わずに漂白されたものであることが望ましいといえます。

2)用紙の取りムダが少ない仕様、及び用紙を選定すること

 

 

 

□ 用紙の取りムダが多い変形サイズ仕様を避ける
□ 取りムダが少ない規格サイズのある用紙を選定する

 

 

 

枚葉印刷※2)の用紙には、A判、B判、四六判、菊判などの規格サイズがあり、オフ輪印刷※3)でも用紙の幅が決まっています。印刷物をそれらに合わない変形サイズの仕様にすると、用紙の取りムダが多く発生してしまうことがあります。

○用紙の種類によって規格サイズが決まっていますので、作成したい印刷物の仕様サイズに照らして取りムダが少ない規格サイズがある用紙を選べば、用紙を有効に使うことができます。

3)白い紙と色紙の併用を避けること

□ 白い紙と色紙を併用していない

色紙は繊維を染色しているため、古紙パルプにしたときに色が抜けず、印刷用紙に再生できないなど用途が限定されてしまいます。白い紙の印刷物の表紙や中表紙に色紙を併用すると、全てが色紙と同じ用途限定の古紙パルプとして扱われてしまいます。

2.インキ

1)芳香族成分を含まない石油系溶剤を用いるとともに、植物油含有量を増やして石油系溶剤を削減したインキを使用すること

 

□ レベル1 芳香族成分を含まない(1%以下)の石油系溶剤のみを使用しているインキである(アロマフリーインキ)
□ レベル2  植物油含有量20%以上、または、石油系溶剤15%以下である(オフ輪インキは除く)

○インキに含まれる石油系溶剤は、炭化水素系の揮発性有機化合物(VOC)であり、他の物質と反応して光化学スモッグなどの大気汚染の一因となります。

○レベル1:石油系溶剤の中でも特に芳香族成分(アロマ成分)は、健康への悪影響があり、一部は大気や土壌の汚染物質として指定されていますので、少なくとも芳香族成分を含まない(1%以下)溶剤のインキ(アロマフリーインキ)を使用することが必要です(エコマーク商品類型No.102「オフセット印刷インキ」と同等レベル)。

○レベル2:レベル1の内容に加えて、石油系溶剤を亜麻仁油、桐油、大豆油などの植物油で代替し、VOC成分を減らしたインキを使うことが望まれます。(UVインキは石油系溶剤を使用しないのでレベル2に該当します)

○もともと溶剤成分が少ない枚葉インキでは、石油系溶剤を全く含まないインキも製品化されています。(このインキはレベル2の中でも特に環境負荷の小さいインキと言えます)

○ヒートセット型のオフ輪インキは溶剤を熱で揮発させる方式のため、レベル2の対象外になります(VOC対策はU.2.3)を参照)。

○オーバープリントニス(OPニス)はインキと同工程で使用されるので、本項目で評価します。

2)有害性の恐れのある化学物質を含有していないインキを使用すること

□ 印刷インキ工業連合会の「食品包装材料用印刷インキに関する自主規制」(NL規制)に適合している

インキにはさまざまな化学物質が含まれていますが、印刷インキ工業連合会では食品包装材料に用いるインキについて安全性の観点から使用を避けるべき物質を選定し、自主規制しています。これら有害性の疑いのある物質は、他用途の印刷インキでも含有しないのが望ましいといえます。

3.表面加工

1)表面加工(フィルム貼り、ニス引き)の必要性の有無を考慮すること

 

 

 

 

□ 表面加工する必要はない
□ 表面加工する必要がある ⇒ 次項2)を考慮する

 

 

 

 

○表面加工には資源やエネルギーを要します。単に見た目をよくするためだけに表面加工をしないよう、その必要性を十分に考慮します。

○特にフィルム貼りした印刷物は、リサイクルにあたってパルプにフィルムが混入して支障を来たすことがありますので、フィルム貼りは避けることが望まれます。ただし、長期使用するものなど用途によっては、フィルム貼りやニス引きなどの表面加工は、耐久性、耐水性、破れ防止などに役立ちます。

○フィルム貼り加工の場合、ほとんどポリプロピレンが使われていますが(通称PP貼り)、まだ一部でPVCが使用されることがあります。

2)表面加工する場合、石油系溶剤を含まない接着剤やニスを使うこと

□ 接着剤やニスに石油系溶剤を含まない

 

フィルムを貼る際に使用する接着剤やニスについても、大気汚染の一因となる石油系溶剤を含んでいないことが望まれます。(なお、OPニスは印刷工程で使用されるので、インキの項目で評価します)

4.製本及びその他加工

1)製本に接着剤を使用する場合、リサイクルに支障がないものを使用すること

 

 

□ 難細裂化改良EVA系ホットメルト接着剤またはポリウレタン系ホットメルト接着剤を使用する

 

製本用に普及しているホットメルト接着剤は、リサイクルの古紙処理施設で細かくなって(細裂化して)フィルターを通り、パルプに混入してしまいます。それが再生紙の品質低下を招きリサイクルの支障になります。この問題に対応して改良された難細裂化改良EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)系やポリウレタン系のホットメルト接着剤を使用すれば、リサイクルの支障になりません。

2)表紙やカレンダーの綴じ具、綴じ込み付録などの付属品で、紙以外の素材をできるだけ使わないこと

□ 紙以外の付属品を使用していない <紙以外の付属品を使用する場合>
□ 排出時に分離しやすい仕様になっている
□ ポリ塩化ビニル(PVC)を使用していない

○印刷物に紙以外の素材が使われていると、古紙リサイクルの妨げになります。紙以外の付属品をできるだけ使用せず、使用する場合はユーザーが排出時に分離しやすい仕様にすることが必要です。

○ポリ塩化ビニル(PVC)などの塩素化合物を焼却すると、条件によってダイオキシン類や塩化水素ガスが発生する可能性があります。

5.印刷物への表示

印刷物に用紙、表面加工、インキ、製本方法などについて情報を明記すること

□ 印刷物に環境情報を表示している

印刷物の仕様に関する適切な環境情報の表示は、ユーザーとのコミュニケーションに役立つだけでなく、適切なリサイクルや処理を促す情報提供になります。

 
※1)オフセット印刷:このガイドラインにおいては、印刷版の印刷インキをブランケットなどの転写体に転移し、さらにこれを紙などに再転移する平板を用いた印刷方式をさします。
※2)枚葉印刷:A判やB判などに裁断された用紙に一枚ずつ印刷する方式で、酸化重合型等のインキを使用して印刷する方式。
※3)オフ輪印刷:オフセット輪転印刷の略。巻き取り状のロール紙に、熱で定着させるヒートセット型インキ等を使用して印刷する方式。大量部数を高速で印刷する場合はオフ輪で行われることが多い。
※印刷関連の用語については(社)日本印刷産業連合会のホームページが参考になります。

■発注側の配慮事項

発注者として以下の事項に配慮することで、校正刷りや刷り直しに伴う資源・エネルギーの消費を抑えることができます。

□ 初めから完全な原稿を入れることを心がけ、初回の校正で十分にチェックを行うことで、校正チェックの回数を減らす

□ 必要以上の過剰品質を要求して刷り直しを行わない

 

第U部.発注先の事業者選定にあたって考慮すべき事項
=印刷事業者の回答シート兼用=

記入日    年  月  日
下記の記載内容に誤りのないことを確認致します。
事業者名:                                 責任者:(役職)                   (氏名)              印  
  
        住所:                                   TEL:                 FAX:            
 
                          □:グリーン購入ネットワーク(GPN)会員
 

ガイドライン

チェックリスト

背景説明

1.環境マネジメントシステム

組織的に環境改善に取り組むための環境マネジメントシステムがあること

<レベル1>
□ 環境方針を持っている
□ 環境対応の責任体制を明確に定めている
□ 従業員の環境意識を高める教育を行っている
□ 関係する環境法規制を把握している

<レベル2>
□ 自社の環境負荷を把握し、計画や目標を立ててその削減に努めている
□ 環境マネジメントシステムと取り組み成果を定期的に検証して次の活動に生かしている
□ 業界の自主基準に沿って取り組みを進めている

【規格等】環境マネジメント規格やプログラムがある場合は下記に記載する
[名称:                   ]

○事業活動において継続的に環境負荷を低減させるためには、何らかの組織的な環境マネジメントシステム(EMS)を持つことが必要です。

○EMSの内容については、まずレベル1が実施されているかどうか、次いでレベル2が実施されているかどうかを考慮します。

○国際的に認知されたEMSの規格としては、国際標準化機構のISO14001があります。

○この他、簡易な手法を用いた環境省の「環境活動評価プログラム、東京都の「エコ・アップ事業所東京宣言」や「京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)」などの地域プログラムがあります。※4)

○業界の自主基準には、(社)日本印刷産業連合会の「オフセット印刷サービス」グリーン基準があります。

2.環境への取り組み内容

1)製版、刷版工程のデジタル化(DTP化、CTP化等)に努めていること

□ 製版、刷版工程のデジタル化(DTP化、CTP化等)に努めている※5)

デジタル化を進めることで製版や刷版で使用する資材や薬剤の使用量を削減することができます。

2)製版、刷版工程で使う現像液、定着液、水洗水の削減や循環利用に努めていること

□ 製版、刷版工程で使う現像液、定着液、水洗水の削減や循環利用に努めている

現像液、定着液、水洗水にはさまざまな化学物質が含まれていますので、削減や循環利用に努めることが求められます。

3)印刷時に揮発するVOCを大気中に放出しないよう、適切な管理及び処理を行っていること

 

□ 印刷時の湿し水にイソプロピルアルコール(IPA)を使用しないか、溶液濃度を5%以下に管理している

湿し水※6)に含まれるイソプロピルアルコール(IPA)は有機溶剤の一種です。印刷工場の健康管理や大気放出時のVOC低減の観点から、できるだけ使用しないか、低濃度で管理する必要があります。

□ ヒートセット型インキを用いるオフ輪については、排ガス処理装置を設置している

オフ輪印刷では印刷直後に加熱して溶剤(VOC)を揮発させ、インキを固定します。そこで、大気中にVOCを放出しないよう、排ガス処理装置を備える等の対策が必要です。

4)印刷機械の導入時には、省エネルギー、省資源型の機械を選ぶよう努めていること

□ 印刷機械の導入時には、省エネルギー、省資源型の機械を選ぶよう努めている

印刷機械を更新する際には、省エネルギーや省資源の観点を考慮して選ぶことが求められます。

5)環境に配慮した印刷物の作成について発注者にアドバイスできること

□ 用紙の取りムダが少ない仕様や用紙の選定、インキの選定、表面加工や製本の方法等、環境配慮について発注者にアドバイスできる

発注者が環境に配慮した印刷物の仕様(用紙、インキ、表面加工、製本等)を決めるためには、営業部門などが必要な知識を持って発注者にアドバイスできることが必要です。

6)廃棄物の発生抑制、リサイクル、適正処理に取り組んでいること

□ 損紙等の再使用やリサイクルの徹底□ インキ容器のリサイクルの推進□ 包装資材(ワンプ(用紙包装)、製版資材包装、PPバンド等)のリサイクルの推進 □ その他(                                        )

7)グリーン購入に取り組んでいること

□ グリーン購入に取り組む方針を持っている

<次の分野のグリーン購入に取り組んでいる>
□ 紙類(会社案内、名刺、見積書、コピー用紙等)
□ オフィス用品等(文具・事務用品、オフィス家具、OA機器、パソコン等)
□ 業務用自動車(低排出ガス車や低燃費の車等)
□ 再生材を用いた資材や、廃棄物の少ない資材等
□ その他(                                        )
※取り組みにあたってはグリーン購入ネットワーク(GPN)のホームページを参照

8)化学物質等の管理・削減に取り組んでいること

□ PRTR(環境汚染物質排出移動登録)制度に沿った管理を行っている
□ その他(                                        )
※取り組みにあたっては環境省PRTRのホームページを参照

9)その他、環境負荷の低減に積極的に取り組んでいること

上記の取り組み以外にも、事業活動から生じる環境負荷を低減するよう、さまざまな取り組みを積極的に進めることが期待されます。

□ 省エネルギー・省資源
□ 大気汚染の防止
□ 水質汚濁・土壌汚染の防止
□ その他の取り組み

[自由記載]

3.環境情報の公開

環境情報を積極的に公開していること

□ 環境への取り組みなどについて積極的に情報公開している
  (→具体的な方法:                             )

 
※4)各プログラム等のホームページ: 
環境省「環境活動評価プログラム」  http://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-5.html
東京都「エコ・アップ事業所東京宣言」 http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/cae/caeindex.htm
京のアジェンダ21フォーラム「京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)」 http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ma21f/index.html
※5)DTP:Desk Top Publishingの略。パソコンやワークステーションなどで組版・編集を行ない、デジタル原稿を制作すること。CTP:Computer to Plateの略。デジタル原稿をパソコン等から直接出力して印刷用刷版を作成すること。
※6)湿し水(しめしみず):オフセット印刷において、非画像部への印刷インキの付着を防ぐために、版面を湿らせる水溶液
「オフセット印刷サービス」のガイドラインへ戻る
ガイドライン一覧へ戻る
ホーム
[オフセット印刷サービス」
発注ガイドラインの
PDFファイル(109kb)
アイコン
「グリーン購入のための
GPNデータべース」へ