インターフェイス社(ベントレー社)


・所在地:カリフォルニア州ロサンゼルス郊外City of Industry)

・訪問日:200033日(金) 9:00〜12:00

・面接者:Mr. John BradfordGeneral Manager)他


【企業概要】

 インターフェイス社は世界最大級のカーペットメーカーで、グループで年商約13億ドル、従業員7千人を抱えている。会社の創業者であり、現会長のレイ・アンダーソン氏は、インターフェイス社を世界で初めての「持続可能なメーカー」にすることを目指し、環境を軸にした企業経営に取り組んでいる。
(ホームページ:
www.interfaceinc.com

↓ インターフェイス社「ベントレー社玄関」
インターフェイス社「ベントレー社玄関」 今回訪問したロサンゼルス郊外にあるベントレー社は、年間の売上高1.4億ドル、従業員530人の企業で、主に商業用のカーペットを生産している。1993年にインターフェイス社の子会社となったが、それ以後環境問題に厳しいカリフォルニア州の中で、環境への取り組みにおいてリーダー格となっている。今回の訪問の主なねらいは、会長の理念の浸透と具体的な取り組み等について調査することであった。


1.持続可能なメーカー

 日本では環境保全や循環という言葉がよく使われているが、米国ではサスティナビリティ(sustainability 持続可能性)ということばがよく使われている。持続可能なメーカーとは、地球環境を悪化させない、自然資源を浪費しない企業活動を行うメーカーのことと受け取られる。インターフェイス社の目指す持続可能なメーカーとは、つぎのつの側面への取り組みにより理解される。


2.インターフェイス社“7つの目標”(「SUSTAINABILITY REPORT 1997」より)

 1) 廃棄物をなくす

・ゴールは廃棄物をゼロにすることである。

 これを達成するために、廃棄物の源を再調査し、まずは廃棄物を減らすことからはじめ、最終的に廃棄物ゼロにする。

・生産に使用される資源量の削減と資源の種類をシンプルにするために製造工程と製品自体の再設計を行う。

・廃棄物を他の製品製造の資源にする。

(ここでの廃棄物とは単なるゴミ等の廃棄物ではなく、「製造から輸送までを含めた中で使用される資源において、顧客に何ら価値を与えないもの」のことであり、ベントレー社での説明によるれば、「廃棄物には、時間、才能、エネルギー、スペース、原材料等も含まれる」とのこと)

 2) 有害な排出をなくす

・すべての有害な放出を無くすため、煙突や排水パイプがなく危険廃棄物等のない工場を創り出す。

 そのためには、排出端ではなく工程の上流で汚染を防ぐ。

・究極的には、工場から排出されるものはカーペットや生地という価値ある製品ときれいな空気と水だけにする。

 3) 再生可能なエネルギーを利用する

・生産方法と装置の改善によりエネルギー使用量を減らす。

・同時に、太陽光発電のような再生可能なエネルギーの利用を追求する。

 4) 循環させる(ループを閉じる)

・食物連鎖のように廃棄物の物質循環ができるよう、製造工程と製品自体の再設計を行う。

・原材料の使用量を削減し、材料から最大限の価値を取り出す。

・工場および社会からの廃棄物が価値ある原材料となるように合成材料をリサイクルする。

・有機材料をより多く使用し、自然の循環のなかに安全に戻す。

 5) 資源効率の高い輸送

・製品重量を減らすため梱包形態を変え、輸送効率をあげる。

・顧客により近いところで製造する。

・物の代わりに情報を動かす。ここでの輸送には人間、製品、情報や資源の輸送を含む。

(ベントレー社での説明では、ビデオ会議、電子メール、電話の効用を例にあげていた)

 6) 意識を共有する

・持続可能性を推進するため、社員やビジネスパートナーの環境と挑戦に対する理解を高める。

・顧客、原材料の供給元や友人、競争者にさえも、この挑戦がやるべき正しいことであり、賢いことであることを実証する。

 7) 商売のあり方をデザインし直す

・商売の新しい方法として、製品を購入してもらうのではなくその製品の価値を顧客に配達する。

・製品のさまざまなライフサイクルにおいてサービスを提供する。

(ベントレー社の説明では、カーペットを売るかわりにカーペットの価値とサービスを提供するということであり、簡単に言えばカーペットのリースのことである。物を売っただけではそのものの価値がなくなると廃棄されてしまうが、リースであればそれを回収して自社の責任でリサイクル・循環させることができるという考えである。)


3.ベントレー社の取り組み

3−1.サスティナビリティへの投資額

 昔風の古いビジネスは、地球の資源をキャッシュフローに変えていたが、サスティナビリティに取り組むことにより、「地球を救う」とともにキャッシュフローも出てくる。

 ベントレー社では、サスティナビリティへの取り組みとして製造部門に年間300万ドルから400万ドル投入している。インターフェイス全社としては、過去5年間で環境保全活動により9,000万ドルのコストを削減し、そのうちの8,200万ドルをサスティナビリティに再投資している。

3−2.サスティナビリティへの取り組み

3−2−1.ステップ・バイ・ステップの取り組み

 インターフェイス社の7つの目標は、すべての会社にあてはまることである。ただ、その目的は一足飛びに達成できるものではなく、一段一段段階を昇っていくものである。段階を一段昇ると見える景色も変わり、目標も変わってくる。ベントレー社では、次のつの段階を設定している。

【第1ステップ】:とにかく何かをやる

 リサイクルとかゴミを出さないとか何かをやる。また、エネルギー、資源、時間、努力、スペース、能力などのムダをなくす。

【第2ステップ】:リサイクルしやすいように製品をデザインする

 エネルギーやコストがかからず各素材に分解しやすく、マテリアル・リサイクルしやすい材料を使用する

【第3ステップ】:製品を単一素材でつくる

 マテリアル・リサイクルのため、ひとつのポリマーのみを製品に使う。

【第4ステップ】:再生可能な素材やエネルギーを使用する

 第1ステップは誰でも始められるが、第2〜4のステップは継続的な取り組みが必要である。現在、ベントレー社では各段階において取り組み行われている。

3−2−2.製品におけるサスティナビリティのピラミッド

 製品のサスティナビリティへの貢献は次のピラミッドの図で表され、底辺から頂点を目指して進んでいく。各面の進み具合はその製品ごとに違っている。

 例えば、バッキングにおいては、ビニールのりが底辺にあり、ホットメルトのり、自然ののりと頂点へ向かってあがっていく。

 プロセスにおいては、多工程のものが底辺にあり、少工程のものが上に来るし、エネルギーではソーラーが頂点にある。ただし、製品はすべてセンシティビティに立脚しており、顧客、コミュニティ、社員のセンシティビティをどれだけ満足させられるかが重要。

3−3.グリーンチームの活動

 同社では、従業員の声や提案に耳を傾けることがとても大切だと考えている。そのため、「グリーンチーム」という職場での活動グループを設けている。これは、ゴールをサスティナビリティとした環境問題に対するマネジメントチームであり、これまでに次のような成果を上げている。

1998年にソーラーパネルを導入。現在の能力は100kWであり、工場電力の6%を供給している。ひとつの工場としては全米でも最大級の発電能力を持っている。

・1999年に18,100万ガロンの水を使っていたが、現在染色工程で15%削減することを目標にしている。過去5年では、20%削減の実績がある。

・蒸気については、熱を温水として再利用、回収している。

・その他、染色工程のコンピューター制御による省資源、配管の保温、高効率モーターの使用、照明に32Wの蛍光ランプ、ボイラーシステムの管理による省エネルギー等。

3−4.カーペットのリサイクルとリースの進展状況

 顧客から回収したカーペットのリサイクルは、インターフェイス・リソースという別会社が行っている。現在使っている素材では、カーペットを再びカーペットに戻すことはできないが、それを目指して研究開発を進めている。素材によってリサイクルできないものは、焼却して廃熱を回収している。カーペットの状態のよいものは、クリーニングして学校等に寄付していることもある。

 リースは“エバーグリーンリース”として別会社が行っている。顧客に月々のカーペット使用料を支払いいただき、必要に応じて修理・交換し、使用後は引き取っている。カーペットの使用価値を売っていると言える。

 リースカーペットは顧客にとって多少高くつくのでまだ規模は小さいが、電力会社や公設図書館等の公共施設への納入実績がある。施設自体がサスティナビリティデザインでつくられているところが、このリースを採用する例が多い。現在は銀行がカーペットをリース対象にしていないこともリースがあまり利用されない一因と考えている。

3−5.全従業員の研修

 スウェーデンでカール・ロベール博士の提唱で始まった「ナチュラル・ステップ」がインターフェイス社のサスティナビリティ活動のフレームワークになっている(会長のレイ・アンダーソン氏はナチュラル・ステップ・アメリカの代表)。ベントレー社では、1997年にインターフェイスの別会社から指導員を招き、数回に分けてナチュラル・ステップによる全ての従業員への訓練を行った。今後も継続して追加の研修コースを受けていく予定である。

 ※ナチュラルステップ(http://www.tnsj.org/index.htmlを参照)


4.その他

4−1.サスティナビリティ・レポート

 日本においては、環境報告書という名称での環境情報の公表が多くみられるが、米国ではインターフェイス社とおなじく「サスティナビリティ・レポート」という名称が使われている場合が少なくない。インターフェイス社では同レポートを1997年に発行した。それ以降は発行していないが、これは、取り組み自体は変わらないし、最新データは逐次レポートのポケットに追加で入れればよいとの考えからである。(ただし、入手したレポートには最新データがなかった)

 ※参照:http://www.ifsia.com/us/company/sustainability/request_report.asp

 ※サスティナビリティ・レポートでは、環境以外の情報も含まれる方向に進んでおり、GRI(Global Reporting Initiative)http://www.globalreporting.org/において作成ガイドラインの策定が進められている。

4−2.ISO14001について

 ベントレー社では取得していないが、インターフェイスグループでは一部会社が認証を取得している。

【報告者:圓成寺法水(日本たばこ産業)

























【感想】

 訪米前に某Web上の情報により、レイ・アンダーソン氏のサスティナビリティに取り組むまでの経緯と情熱および取り組みの内容を知り、インターフェイス社訪問を大変期待していた。ベントレー社社長のジョン・ブラッドフォード氏は、最近までレイ・アンダーソン氏のもとで働かれていたとのことで、その情熱はひしひしと感じられた。

 ところが、私が見聞した範囲だけにおいては、サスティナビリティへの取り組み成果の正確な把握は難しかったというのが実感であった。

 簡単に言えば、期待外れであり理想と現実の乖離というものを感じた。これはあくまでも私見であるが、工場内の省エネ対策、廃棄物の分別、整理整頓など不十分であり、またグリーンチームによる対策もソーラーパネル以外は、日本では一昔前に取られているものばかりであった。7つの側面の目標達成はまだまだ先のことだと感じた。

 確かに、環境保全対策により9,000万ドル/5年の実績はあるのかもしれないが、比較年の実績があまかったのではと感じた。日本の企業はこれまですでにコストの面から省資源、省エネに取り組んできたところであり、資源・エネルギーの豊富な米国とでは事情が違うのでないだろうか。

 しかし、とはいってもレイ・アンダーソン氏の考えはすばらしいし、7つの側面の目標もすばらしいことは事実である。日本の環境対策をコマーシャリズムと受け取るのは私の感想だが、実行においては日本の先進的な企業は米国よりはるかに進んでいると思う。理想はすばらしくても実行が伴わなければそれこそ絵に描いたもちであり、その動機がどうであれ実績をあげられれば地球にやさしいのである。

 米国の理想と日本の実行力が合体すれば、それこそサスティナビリティな企業が出現するのではというのが一番の感想であった。(圓成寺)


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