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【提言】国の機関におけるグリーン購入法の基準を満たす印刷物の対応状況と情報開示制度と認定制度の活用

ガイドライン2018.10.16

【提言】国の機関におけるグリーン購入法の基準を満たす印刷物の対応状況と情報開示制度と認定制度の活用

2018.10
グリーン購入ネットワーク(GPN)

 

詳細≫ 【提言】国の機関におけるグリーン購入法の基準を満たす印刷物の対応状況と情報開示制度と認定制度の活用 [PDF 999KB]

 

1.グリーン購入法の印刷物の基準について

グリーン購入法では、以下のような基準を満たす印刷物を発注するように国の機関に義務付けている。実績は各省庁より公表され、環境省のまとめ(※1)によるとH28年度の調達実績は99.3%となっている(表2参照)。
印刷物の満たすべき基準(グリーン購入法の基本方針(※2)より)
(1)紙について、再生パルプもしくは未利用材、間伐材、バージンパルプは合法材を使用
(2)リサイクル阻害材料が使用されていないこと
(3)リサイクル適正の表示
(4)印刷工程の環境配慮(VOC発生抑制、損紙のリサイクル等)

2.総務省による調査結果(2017年度)

2016年にクリーンウッド法が制定され、総務省はグリーン購入法の対象となる物品について、木材・パルプの合法性の確認とその根拠について国の機関を対象に調査を行った。調査結果は、64機関が「封筒」を印刷物として調達したが、型番等がわからず、41について合法性を確認できなかったことが明らかになった。
これは、グリーン購入法の基準を満たす調達を行ったかどうかについて、印刷物の仕様書ではその旨の記載があるものの、実際に基準を満たしている印刷物が納品されたかどうかはわからないということを示す。

※総務省行政評価「森林の管理・活用に関する行政評価・監視<結果に基づく勧告>(2017年)(※3)」のまとめ(グリーン購入法該当部分)    
・対象は5省(法務省、財務省、厚労省、農林水産省、国土交通省)、69機関
・G法の7品目(コピー用紙、鉛筆、ファイル、ノート、封筒、いす、机)の179種類の製品について木質系材料の合法性確認状況を調査。
※うち、封筒については印刷物としての発注(64機関が調達し、41が合法性を確認できず)。封筒の型番まではわからず。

3.GPNによる「白書」のリサイクル適正表示の調査結果

グリーン購入法の基準のうち、(3)リサイクル適正の表示については、印刷物で確認できることから、各省庁が2017年度に発行した『○○白書』について調査を行った。結果は以下の通り。

表1 白書のリサイクル適正表示の調査結果

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31の白書うち、環境白書のみが裏表紙にリサイクル適正を表示していた(〇印)。また、通商白書は、内部に文章で「リサイクルできる」と記載があった。11の白書は「再生紙あるいは間伐材を使用している」と記載があった(△印)。残りの18の白書については表示がなかった(×印)。リサイクル適正表示は表紙・裏表紙・背表紙のいずれかにつけることがガイドライン(※4)に定められており、環境白書以外は、リサイクル適正の表示は正しくされていない、あるいは全く表示されていないことがわかる。つまり、国の機関が発行する白書について、グリーン購入法の印刷物の基準を満たしていないということである。

4.国の機関、地方公共団体のグリーン購入実績把握は形骸化している側面も

2と3の結果によりわかることは、国の機関は、グリーン購入法の基準を満たすことを仕様書等に記載して、それに基づき調達を行っているものの(図1参照)、その「確認」ができていないことを示す。理由として以下の3点が挙げられる。
(1)印刷物について、グリーン購入法の基準が複数あり、全てを仕様書に記載していないため、発注側も納入側も具体的な確認内容を把握していない。
(2)印刷物のグリーン購入法の基準が専門的で、事業者以外には理解しにくい基準もあるため、発注側は理解・把握・確認できない。
(3)グリーン購入法の基準に基づき調達できていなくても罰則がないため、発注側も納入側も基準を守るというインセンティブが働かない。

グリーン購入法が平成13年に施行されてから既に17年が経過しており、前任者と同じことをやっていれば、これまでどおり調達集計の際には「グリーン購入できている」と回答できるということが担当者間で綿々と引き継がれていると推察される。そのため、環境省による国の実績把握では99%という高い割合になっていると考える。さらに、国だけではなく、努力義務としてグリーン購入に取り組んでいる地方公共団体にもあてはまることが容易に想像できる。

5.GPNからの提案内容

印刷物に関しては、使用する紙の環境配慮が資源の有効活用や、木材伐採現場での労働者の環境改善につながる。印刷工程でも労働者の健康への配慮や安全確保、資材のリサイクルを考慮する必要がある。また、印刷物の使用後は、適切な方法で廃棄し、資源の再利用を促すことが求められる。
このように、印刷物の環境・社会面の配慮については、複数の基準を考慮する必要がある。納入する側の印刷事業者は中小規模のところが多く、工程によって会社が複数にわかれるケースもあり、グリーン購入法について理解すべき人数が多いという特徴もある。また、発注側も、印刷物は個別の部署ごとに発注するため、担当者がわかれており、関係する人数が多い。グリーン購入法のような複雑な基準の理解を、省庁の個々の職員まで、印刷事業者の一人ひとりに徹底することは困難であると言える。
このような「印刷物」について、罰則なしの「自主宣言型の取組」で環境配慮基準を担保していくことは、非常に困難であると言える。
よって、印刷物のような物品については、一般社団法人日本印刷産業連合会の「グリーンプリンティング認定工場」を選択する等の第3者的な事業者認定のしくみを活用する。もしくはGPNのエコ商品ねっとでの事業者の取り組みを情報開示するしくみを活用することが、問題解決のためには非常に有効な方法であると思われる。GPNは今回の調査結果を受けて、このような第3者認定もしくは情報開示のしくみの活用について、環境省のグリーン購入法担当部局に対し検討することを提案する。


表2 (参考)平成28年度、グリーン購入の実績まとめ(抜粋、環境省公表資料)

table2.jpg


図1 (参考)省庁による印刷物(白書)の発注仕様書の記載例

fig1.jpg


(注釈)
※1 平成28年度国等の機関によるグリーン購入の実績及びその環境負荷低減効果等 [PDF 1,218KB] 
※2 環境物品等の調達の推進に関する基本方針
※3 報告書のURL
※4 リサイクル対応型印刷物製作ガイドライン(平成26年9月改訂版) [PDF約1.8MB]

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