【著書紹介:伊坪徳宏GPN会長】「大学講義 ライフサイクルアセスメント(丸善出版)」
グリーン購入ネットワーク(GPN)は、「持続可能な調達(消費と生産)の推進を通じて、SDGsの目標達成やカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現に貢献」という方針のもと、セミナー・コラム等を通じて、サステナビリティの様々なテーマの情報発信に取り組んでいます。
今回、伊坪徳宏GPN会長(早稲田大学 創造理工学部環境資源工学科 教授)より著書について、情報提供をいただきましたので、GPN会員の皆さまに共有させていただきます。
◇内容紹介
LCA(ライフサイクルアセスメント)は、製品やサービスを対象に、ライフサイクル全体を網羅して環境影響を定量的に評価する方法である。1990年代以降、企業がISO 14001(環境マネジメントシステム)を構築する際の有用なツールとして注目され、その原則と実施要件が国際規格として発行された。LCAを実施するためには、ライフサイクル全体にわたる「環境負荷」の分析と、「環境影響」の評価が不可欠である。このため、インベントリデータベースや影響評価手法の開発研究が進められ、やがて製品設計や経営戦略にも実践的に活用されるようになった。
評価対象は、製品から組織へ、炭素から生態系・サステナビリティへ、既存技術から将来技術へと広がっている。新たな科学的知見は年間5,000件を超える研究論文として発表され、LCAは急速に進化を続けている。パリ協定の採択、SDGsの発行、ESG投資の主流化を背景に、信頼性の高い環境情報へのニーズは一層高まり、科学的アプローチとしてのLCAの重要性は揺るぎないものとなりつつある。
ISO 14040の初版発行(1997年)から30年近くが経過し、LCAへの注目はますます高まっている。欧州委員会によるCSRD(企業サステナビリティ報告指令)では、中小企業や非EU企業も含め、Scope 3排出量の開示が原則義務化された。欧州電池規則では、2025年から製品ごとにCFP(カーボンフットプリント)結果の宣言書開示が求められ、2026年からはその結果に基づく性能クラス表示、2030年には一定水準を超える製品の販売禁止が予定されている。さらに、IFRS(国際財務報告基準)S2(気候関連)においてもScope 3開示が原則必須とされ、これらの情報は投資機関に直結することから、経営戦略の中核指標としての利用が進んでいる。
LCAの利用者層は、製品開発者からサステナビリティ担当者、経営管理者、コンサルタント、監査法人、金融アナリストへと広がっている。多様な関係者がLCAを効果的なコミュニケーションツールとして適切に活用するためには、LCAの特徴を正しく理解するとともに、その限界を認識し、誤用を極力避けることが重要である。
本書は、LCAをテーマとした大学講義での利用を想定して執筆した。環境学・環境評価・環境経営の分野で体系的にLCAを学びたい学生、あるいは環境経営や環境政策への活用を目指す実務担当者を主な読者としている。本書の目的は、LCAの原則を理解し、その基礎的な利用方法を習得することである。構成はISO 14040に準拠し、各章にエクセルを用いた演習を盛り込んだ。実務で本格的にLCAに取り組むには専用ソフトウェアが望ましいが、まずは表計算ソフトエクセルでも取り組めることを伝えることに重点を置いた。
なお、本書で用いるデータは演習用の例示にとどまり、正確性は保証しない。そのまま引用するのではなく、市販データベースや最新情報を用いて頂きたい。
本書が、LCAの理解と普及の促進に加え、環境評価の専門人材育成とサステナブル社会の実現に貢献することを願っている。
◇目次
第1章 ライフサイクルで考える
第2章 LCAの原則
第3章 LCAの実施手順
第4章 目的の設定
第5章 調査範囲の設定
第6章 インベントリ分析「積み上げ法」
第7章 インベントリ分析「原単位法」
第8章 インベントリ分析「産業連関分析」
第9章 インベントリ分析「マトリックス法」
第10章 インベントリ分析「配分」
第11章 環境影響評価「特性化」
第12章 環境影響評価「被害評価」
第13章 影響評価「正規化と統合化」
第14章 解釈
◇大学講義 ライフサイクルアセスメント
著者:伊坪 徳宏 著
発行元:丸善出版
ジャンル:環境科学・生活科学 > 環境科学
出版年月日:2026/05/29
ページ数;264ページ
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■問い合わせ
グリーン購入ネットワーク(GPN)事務局 竹内・深津
