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【食育の日(19日) 特別企画】株式会社ファンケル 食育活動ヒアリングレポートの公表

GPN活動報告2024-09-19

グリーン購入ネットワーク(GPN)は、「持続可能な調達(消費と生産)の推進を通じて脱炭素、SDGs、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する」という方針のもと、セミナー・コラム等を通じて、サステナビリティの様々なテーマの情報発信に取り組んでいます。加えて、特別企画として、会員団体を中心に様々な方にご協力いただき、“GPNからのお知らせ”に関連情報を発信して参ります。

毎月19日は「食育の日」です。
今回、この食育の日に合わせて、宇都宮大学農学部3年の岡島瑛斗さん(インターンシップ)に、GPN会員が実践する食育活動をヒアリング調査いただき、報告レポートを作成いただきました。
ヒアリング調査には、GPN会員であり、「こども食堂で食育活動」を実践する株式会社ファンケル様にご協力いただきました。
是非、ご覧ください。


株式会社ファンケル 食育活動ヒアリングレポート
【作成】宇都宮大学 農学部 農業環境工学科3年 岡島瑛斗(GPNインターンシップ)

私たちが生きるためには「食」は欠かせない命の源になります。健康で心豊かな生活を送るためには、健全な食生活を日々の生活のなかで実践し、また、美味しく、そして、楽しく食べることが非常に重要です。
「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する知識やバランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。毎月19日は、自分や家族の食生活を見直す「食育の日」とされています。
今回、具体的な食育の活動として、株式会社ファンケル様にヒアリングを行いました。


◇ヒアリングの概要
日時:2024年9月4日(水)
方法:Zoomミーティング(オンライン)
目的:株式会社ファンケルが取り組む食育活動の内容を把握すると共に、子どもたちに食育の重要性をどのように伝え、日々の生活に繋げているのか、伝え方の工夫や課題をもとに、食育の活動の環を広げるために何が必要かを検討する。

今回、株式会社ファンケル サステナビリティ推進室 サステナビリティ企画グループ 中川 亜衣子様にお話をお伺いいたしました。


◇はじめに
近年、日本国内の子ども食堂は増加傾向にあります。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査では、2023年に全国で9千を超える子ども食堂が運営されており、直近1年間で約2千の食堂が新たに設立されたと報告があります。
子ども食堂は、”子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂”のことであり、その運営はほぼボランティアで行われています。また、子ども食堂の発足当初は、子どもの貧困対策として認知度が向上してきましたが、現在は、子どもからお年寄りまで多世代の交流や地域の交流拠点としても機能しています。

株式会社ファンケルは、1980年の創業以来、一貫して「社会課題解決型企業」として事業運営を行い、創業理念である「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」の想いをもとに成長してきました。
2018年には、SDGs(持続可能な開発目標)と足並みを揃え、「ファンケルグループ サステナブル宣言~未来を希望に~」を策定し、その後、第4期中期経営計画に基づいて、ファンケルグループ重要課題(マテリアリティ)を再設定し、マテリアリティに沿った具体的な取り組みを推進しています。


重点テーマ別のマテリアリティ
  ①豊かな地球環境
    気候変動への対応・CO₂排出量の削減
    資源循環の促進と廃棄物の削減
    持続可能な生物資源の利用
    持続可能な水資源の利用

  ②健やかな暮らし
    年齢ととともに生じる健康と美の課題への対処
    女性特有の健康課題への対処
    肌不調の増加への対処
    基本栄養の適切な摂取

  ③誰もが輝く社会
    多様性・人種の尊重
    地域・社会への貢献


ファンケルの食育活動は、サステナビリティの重点テーマ「健やかな暮らし」の基本栄養の適切な摂取の推進の一環として取り組んでいます。また、子どもから高齢者まで幅広い世代にアプローチすることができること、子どもの頃から正しい食事や栄養のことを知らないと、大人になってから、栄養課題(朝食の欠食、野菜や果物の摂取不足、食塩のとりすぎ等)にぶつかる可能性が高くなり、子どもの頃から正しい栄養知識を身につけ、健やかな心と体をつくることが必要であることから、「子ども食堂」を拠点とした食育活動を実践しています。

◇主な食育活動
株式会社ファンケルの食育活動は、2023年5月に開始しました。当初は神奈川県庁や地域のNPOと連携し、横浜市内でスタートしました。その後、直営店舗等における、“おきなわSDGsパートナー“への登録をきっかけに、沖縄県那覇市内でも実施され、2023年度は計9回、229名が参加しました。

活動内容は、自社の健康食品等を活用した発芽米講座と青汁講座で、基本栄養(タンパク質、糖質・脂質、ビタミン・ミネラル)の大切さを、クイズなどを交え、説明しています。発芽米講座では、実際に、発芽米のカレーを食べること、青汁講座では、ケールを美味しく飲む工夫を子どもたちと考える企画も展開しています。
これらの企画は、単独開催に加えて、キリンビバレッジ株式会社やライオン株式会社など”同じ想い”で協働ができるパートナーと連携し、開催しています。


・参考:発芽米講座内容
基本栄養について、発芽米の栄養/クイズ、発芽米カレーを一緒に食べよう!


食育の活動の様子(写真提供:株式会社ファンケル)



◇ヒアリング
■テーマ①どのような想いを大事にしながら食育活動を展開しているのか。
株式会社ファンケルは、創業以来、美容と健康をテーマとしており、サステナビリティの重点テーマである” 健やかな暮らし”をすべての人に送っていただきたいという想いで、この食育活動に取り組んでいる。
子ども食堂は貧困解決に向けた取り組みの側面があり、参加する子どもたちは何か生活に困っていると思われがちだが、運営される関係者に話を伺うと、今持たれているイメージを払拭し、子どもたちや地域の方々が、気軽に集まることができ、かつ、楽しいイベントなどに参加できる場にしたいという想いを聞くことができた。
そのお手伝いがしたいという想いから、食育活動を通じて、子ども食堂に通っている子どもたち、その保護者や関係者がずっと健康でいられるサポートを続けていきたい。


■テーマ②食育活動で印象に残っていること
食育活動を始めた当初は子どもたちに動画で、学んでもらっていた。しかし、2,3本の動画視聴は、途中で飽きてしまう子どもたちが見られた。そのため、説明の仕方やコンテンツの見直しを行い、子どもたちの反応を見ながら、クイズを取り入れ、積極的に参加してもらえるようにすることで、子どもたちが楽しく学ぶことができるようになった。
また、親子で参加された家庭では、基本的な栄養について発芽米を使用した講座で学んだことをふまえて、発芽米で炒飯を作ったり、実際に料理をしたりしながら、食に関する知識を継続して振り返っていることを感想やコメントで知り、非常に嬉しかった。


■テーマ③今後の展望について
食育活動の展開として、企業や団体との協働を検討し、様々な連携を深めていきたい。また、今後、開催地域の拡大も検討していきたい。
特に、子ども食堂は、地域のNPOやボランティアの方々を中心に運営が行われていることが多いため、講座を実施することで運営の補助に繋げていきたい。今後も発芽米、ケールを活用して、地域の方や親子の交流や、皆さんの健やかな心と身体づくりのサポートをしていきたいと考えている。


◇ヒアリングを終えて(感想)
今回、事前にウェブサイトやファンケルレポート2024等で株式会社ファンケルの事業、サステナビリティの取り組みなどを広く調査したほか、子ども食堂についても調べた上で、中川様にヒアリングを行いました。

子ども食堂は、家庭や食生活に課題を抱えている子どもたちが参加する場所という印象があり、貧困問題のためという印象が強くありましたが、それは、多くの人が持っているイメージではないかと思います。
しかし、株式会社ファンケル様のヒアリングを通して、子ども食堂という場所が、学習支援や交流施設としての役割があることや、運営に携わっている人たちが誰でも気軽に参加できる場所、子どもからお年寄りまで幅広い世代が交流し、触れ合うことができる場所に転換していこうと活動していることを知りました。また、株式会社ファンケル様は、そうした活動を支援するために、”楽しく学べる”講座を子ども食堂で開催しており、この取り組みを多くの人に知ってもらいたいと感じました。
株式会社ファンケル様の食育では基本栄養について学べるため、小さい頃から、食や栄養、健康に関する正しい知識を身に着けることの大切だと、思いました。
ヒアリングを通じて、子ども食堂を拠点に活動を行っていることや誰もが健やかな暮らしを実現させるためにサポートをされていることは、サステナビリティの重点テーマに沿った取り組みであり、企業姿勢が活動に繋がっていて、とても魅力的だと感じました。

中川様からの話のなかで、「1社」だけでは解決できない課題があり、同じ想いをもつ企業や、地域と協働する必要があることを聞くことができました。また、食育活動について調査し、健やかに暮らすためには、食に関する正しい知識を得ること、基本栄養について小さい頃から学ぶことの重要性を知りました。このことを1人でも多くの方に知っていただき、食育について、子ども食堂について考えていただきたいと思います。そして、子ども食堂が、交流の場として、たくさんの方に活用してもらいたいと思いました。

最後に、ヒアリングにご協力いただいた株式会社ファンケルの中川亜衣子様には、ご多用の折、食育活動についてご説明いただくとともに多くの質問に回答いただいたことに、この場を借りて改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。これからも、ファンケル様の取り組みや食育活動について調べていきたいと思います。


青汁講座を受ける子どもたち(写真提供:株式会社ファンケル)


備考:
全国のこども食堂の箇所数推移(認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ)
子ども食堂での食育活動(株式会社ファンケル)


◇お問い合わせ
グリーン購入ネットワーク(GPN)事務局 竹内・深津

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