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地方公共団体のグリーン購入取り組みランキング(2020年度)を公表―今年度は満点団体が14団体に増加―

GPN活動報告2020-11-04

グリーン購入ネットワーク(GPN)(事務局:東京都千代田区、会長:梅田靖)は、全国の地方公共団体(1,788団体)を対象にしたグリーン購入取り組みランキング(2020年度)を公表しました。このランキングは、環境省の「グリーン購入取組事例データベース」 で公表されている地方公共団体の情報をもとにGPNが設定した基準により評価(満点は45点)を行ったものです。
今年度は、14団体が満点の評価(昨年度の9団体から5団体増加)となり、全国の平均点も昨年度の9.4点から9.5点に増加しました。

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■トピックス① “新たに8団体が満点の評価”
今年度は、新たに8団体が満点の評価となり、昨年度から連続して満点となった団体の6団体と合わせて14団体が1位となりました。
仙台市、茨城県、秦野市、富山市、長崎市は8割以上グリーン購入を行っている分野数が増えたことで、大阪狭山市は組織的な取り組みを行う分野数と8割以上グリーン購入を行っている分野数ともに増えたことで満点となり、方針に沿った実践が進んでいることがうかがえる結果となりました。猿払村(北海道)は、2016年度から継続して満点で、都道府県や政令市等のように大きな規模ではない自治体が継続して高いレベルで取り組んでいることが注目されます。

 
■トピックス② “グリーン購入の取り組みレベルは若干の改善が見られた”
今回の全国平均点は9.5点(45点満点)と、前回に比べ0.1点上昇しました。これは全国の地方公共団体で179点分の取り組みが伸びたということになります。一方、全体の66%にあたる地方公共団体(1,181団体)が平均点を下回り、全体の39%の地方公共団体(696団体)が1点以下という結果でした。
こうした状況の背景には、グリーン購入法の枠組みの中で地方公共団体の取り組みが義務ではないことや、担当者がグリーン購入の取り組み方を学ぶ機会が限られていること、気候変動対策や地域循環共生等の行政施策と関連づけて取り組む機会が持てていないこと等の要因があります。
グリーン購入ネットワークは、各団体の担当者がグリーン購入の取り組み方を学ぶ機会として、10月に担当者向けグリーン購入研修会を開催いたしました。




■トピックス③ “域内自治体全体の都道府県別取り組みでは東京都が昨年に引き続き1位”
 域内の市区町村を含めた都道府県別のランキングは、1位が東京都(以下、2位:神奈川県、3位:静岡県、4位:栃木県、5位:富山県)となりました。富山県は組織的にグリーン購入に取り組む分野の拡大、8割以上グリーン購入している分野数の拡大により、昨年度から順位を上げている市町村が多かったことなどから、昨年度16位から大きく順位を上げました。


■トピックス④ “環境先進自治体の中にも見られるグリーン購入の差”
内閣府では、環境問題や地域の低炭素化に積極的に取り組む地方公共団体を「環境未来都市」や「環境モデル都市」として選定しています。また、SDGsの達成に向けた優れた取り組みを提案する都市を「SDGs未来都市」として選定しています。これらの環境問題や社会課題の解決に熱心に取り組む団体においても、45点満点の評価を得た団体から、0点となった団体まで、グリーン購入の取り組み度には大きな差が開きました。消耗品等の調達だけでなく、グリーン購入を広く捉え、環境問題や社会課題の解決につなげる”調達”の実践が期待されます。


【評価結果】
1. 全ての地方公共団体(1,788団体)のリスト
2. 都道府県のリスト
3. 県庁所在地のリスト
4. 政令指定都市のリスト
5. 域内市区町村を含む都道府県別のリスト
6. SDGs未来都市のリスト
7. 環境未来都市のリスト
8. 環境モデル都市のリスト

■梅田 靖 GPN会長(東京大学)のコメント
このたび、2020年度の地方公共団体のグリーン購入取り組みランキングを公表させていただきました。
地方公共団体の中には、総合計画や基本計画の見直しに国連のSDGsの考え方を活用し、持続可能な地域づくりにつなげようとする取り組みが見られます。また、SDGsが定める目標12「持続可能な消費と生産形態を確保する」に関するターゲットには、「国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。(12.7)」があります。そういった観点から、新たに8団体が満点の評価を得たこと、(域内の市区町村を含む)都道府県別ランキングでの栃木県や鳥取県、富山県、広島県、長崎県等の躍進は、域内の市区町村での取り組みが進んでいることを示しており、大変素晴らしい結果です。
地方公共団体は、地域における大口の購入者であり、地域経済や環境配慮型製品・サービスの製造・販売を支える重要な役割を持っています。そのため、全体の66%にあたる地方公共団体が平均点を下回り、全体の39%の地方公共団体が1点以下という結果は、大変憂慮すべき状況です。
グリーン購入はSDGsのターゲット12.7以外の目標やターゲット、例えば省エネルギー製品調達による気候変動対策やリサイクル製品調達による資源循環の促進にもつながり、SDGs達成に貢献する身近な実践例と言えます。地方公共団体には、グリーン購入法に沿って取り組むというだけではなく、公共調達の意義と可能性を捉えていただきたいと思います。また、国には、SDGs の目標達成に向けて、グリーン購入法における地方公共団体の義務化、地方公共団体の調達方針の策定、組織的取り組みの定着に向けた支援の一層の強化をお願いしたいと思います。

【評価概要】
テーマ:全地方公共団体のグリーン購入の取り組み度の評価
評価目的:地方公共団体のグリーン購入の取り組み状況を評価し、更なる取り組みを促すこと
評価対象:地方公共団体1,788団体
評価方法:環境省「グリーン購入取組事例データベース」(平成29年度)公開情報に基づく評価

【評価項目と評価基準】
環境省「グリーン購入取組事例データベース」で公表されている情報のうち、以下の合計点を評価結果とした。

評価項目と評価基準(45点満点)
・調達方針を策定していれば3点、調達方針がなく各種計画等で位置付けていれば1点
・「組織的実施状況(分野別)」において実施していると回答した分野数×1点(満点21点)
・「グリーン購入の割合が8割以上の分野数」と「判断基準はあるが、調達機会がなかった分野数」の合計×1点(満点21点)
45点を満点として、各団体の取り組み度を評価し、点数の高い順にリスト化した。

※評価項目と評価基準の変更点
・「調達方針」もしくは「各種計画等での位置付け状況」の評価において、各種計画等の中で位置付けられている場合よりも、独立した調達方針を策定していることを高く評価し、それぞれ3点、1点としました。(第2回より変更)
・「グリーン購入取組事例データベース」において、新たに「判断基準はあるが、調達機会がなかった分野数」の情報が公開されたことを受け、調達状況の評価項目として追加しました。(第3回より変更)

【背景】
■購入者としての地方公共団体の重要性
地方公共団体は、地域における大口の購入者であるため、地域経済の重要なポジションにあります。地域企業や住民への啓発効果も大きく、地方公共団体が率先して環境配慮型商品を購入することは、その開発と流通を促し、市場における普及拡大につながります。また、グリーン購入は廃棄物の削減や地球温暖化防止等にも貢献することから、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)において地方公共団体は、努力義務として調達方針の策定や組織的な取り組みが求められています。

■グリーン購入とSDGs(持続可能な開発目標)
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の12番目の目標には「持続可能な消費と生産パターンの確保」が位置付けられており、12.7のターゲットには、「国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。」があります。さらに、日本における持続可能な開発目標(SDGs)実施指針においてもグリーン購入の促進が求められています。調達を通じて社会的課題を解決するためにも、地方公共団体におけるグリーン購入の推進は非常に重要な位置付けにあります。

【研修会の実施】
■地方公共団体のグリーン購入の普及促進に向けたGPNの取り組み
グリーン購入は、地球温暖化防止や地方創生、SDGs 等、地方公共団体における重要施策の推進にもつながる有効な手段です。グリーン購入ネットワーク(GPN)は、地方公共団体のグリーン購入の取り組みの拡大、深化を目的に、地域ネットワークと連携し、2020年10月にZOOMを利用し新任担当者向けグリーン購入研修会(基礎編)を開催しました。

【参考】
2019年度(第4回)公表結果  こちら
2018年度(第3回)公表結果  こちら
2017年度(第2回)公表結果  こちら
2016年度(第1回)公表結果  こちら

◆参考情報
・環境省「グリーン購入取組事例データベース
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