「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」が成立しました
2016年5月13日に「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」が第190回国会の参議院本会議で可決成立しました。既にグリーン購入法では、紙や木材に対して木材の合法性の確認が義務付けられていますが、日本の新たな違法伐採対策法が成立しました。
■関連情報
合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案
合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案条文(pdf)
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■GPN理事・三柴淳一氏(FoE Japan)のコメント
【日本の新たな違法伐採対策法が成立!しかし大きな課題を残す形に!】
2016年5月13日、日本の新たな違法伐採対策法が第190回国会の参議院本会議で可決成立しました。法律名は「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」。この法律をもって、日本政府は5月26日開催のG7伊勢志摩サミットにて国際社会に向けて日本の新たな違法伐採対策をアピールすることになります。
この新法と、2006年4月に施行された改正グリーン購入法に基づく既存の「合法木材」制度とを比較して、大きく前進した点は、民間取引も対象になった点です。
他方、欧米豪で先行導入された違法伐採対策法が本新法と大きく異なる点は、(1)違法伐採木材の輸入禁止、(2)違法伐採木材を使用しないための措置であるデューデリジェンス(DD)の実施、を基本としているところです(欧豪は義務、米国は任意ですがDDをしていない場合には罰則が厳重)。今回の日本の新制度では、違法伐採木材の取引禁止は定められておらず、DDの実施も任意となっています。
日本の新法において提案されている任意の登録制度では、違法伐採の流入を完全に止めることはできません。政府の定める基準を満たしたDDを行う企業を登録機関が審査しますが、どのような基準で登録を審査するのかは今後決まっていきます。また登録しない事業者は、違法材を購入していても通常通り事業を続けることができます。このことは登録事業者として責任あるビジネスを行おうとしている企業に対して、労力や価格の点で不公平な競争環境を生み出す可能性が高いことを意味します。
「規制法」でなく「促進法」の枠組みとなったため、手放しに国内市場への違法伐採木材の流入を防ぐ効果を期待することはできず、新法制定の効果は今後の事業者自身の取組みに大きく左右されることになります。
事業者が取組むべき詳細については今後、主務省令や基本方針において明確にされますが、もしも事業者が自主的ながら、真剣・厳密に合法性の確認や十分なデューディリジェンスを実施したのであれば、依然大きな新法の効果を期待することも可能かと考えます。
GPN会員企業のみなさま、是非とも新法の先を行く経営&原料調達方針に基づき、木材・木材製品調達に際しては積極的に十分なデューディリジェンスの実施を通して、日本国内における違法伐採木材の流通撲滅にご協力ください。
(FoE Japan 三柴淳一)
■問い合わせ
グリーン購入ネットワーク事務局 担当:金子
E-mail:gpn☆gpn.jp(☆を半角@に変える)