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パーム油を利用する日本企業の取組状況を評価する「企業格付け2024」発表 森林保護や人権尊重を求めるNDPE方針を公表する企業は2割のみ【熱帯林行動ネットワーク】

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)や地球・人間環境フォーラム等7団体が協働するプランテーション・ウォッチ(注1)は、「企業格付け2024:企業のパーム油調達への取組状況」を発表しました。本評価は、2016年より実施しているアンケート調査に基づいており、プランテーション・ウォッチ独自の基準により企業の取組状況を比較したものです。パーム油を利用する主要な8つの業界(注2)について、これらの業界における売上上位の企業を対象としています。

>> アンケート調査結果の詳細はプランテーション・ウォッチのウェブサイトをご覧ください。

■2023年度アンケート調査(8回目)の特徴
 ·対象とした110社のうち46社から回答が得られ、残り64社から回答は得られなかった。
 ·一社がNDPE方針の実施状況の独立検証による十分な確認ができているとする「A-評価」を初めて取得した。
 ·環境・社会問題に対処するためのグローバル・スタンダードであるNDPE方針(注3)を採用していると回答した企業は、前年度から新たに一社が増えて22社(全体の20%)となったが、ミルリスト(搾油工場リスト)を公表していると回答した企業は前年度と変わらず9社(全体の8%)と、昨年度からほとんど進捗が見られない結果となった。
 ·一方で、小売業界、外食産業、製パン業界については回答率が著しく低く(それぞれ26社中3社、19社中2社、7社中1社)、パーム油の環境社会問題に対する意識の低さを露呈するものとなった。

不二製油グループ本社による「A-評価」は、パーム油の環境社会リスクに適切に対処し、改善していくための「体制」が整備されていることを意味する。これは環境社会問題の改善に向けた通過点であり、この体制の下での実施状況が課題になる(例えば、以下の人権侵害状況への対応など)。その他、RSPO加盟企業に対しては、「ミルリストの作成・開示」を求める。2018年の第15回年次総会にて、サプライチェーン関連企業によるミルリストの開示が義務づけられたが、今回の調査においてミルリストを公表していると回答した企業は9社(全体の8%)のみにとどまっている。また「日本のパーム油使用量トップ20企業」において、パーム油利用量全体に占める認証油(ブック・アンド・クレーム方式を除く)の割合が著しく低いにもかかわらず、RSPO認証油の利用を喧伝している企業が見られる。消費者に対して誤った認識を与えかねないため、適切な情報開示とともに、責任ある調達に向けた取り組みを進めることを期待する。


注1)プランテーション・ウォッチは、以下の7団体が協働して、熱帯地域での単一作物の大規模栽培が抱える問題について情報提供し、責任ある原料調達を目指す取り組みを支援するNGOネットワークです。
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、地球・人間環境フォーラム、ウータン・森と生活を考える会、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部、国際環境NGO FoE Japan、サラワク・キャンペーン委員会(SCC)、メコン・ウォッチ
https://plantation-watch.jp

注2)菓子会社:20社、インスタント食品会社:19社、食料品販売会社:25社、パン・マーガリン会社:10社、外食サービス会社:20社、日用品会社:6社、油脂会社:8社、総合商社:5社(業界によって一部の企業に重複あり)

注3)NDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地破壊ゼロ、搾取ゼロ)方針では、森林減少禁止のために、保護価値の高い森林や高炭素貯留林の転換禁止、火入れ禁止、泥炭地開発禁止に加えて、労働権や土地権の尊重などを含んでいる。https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2023/10/JP-NDPE-briefing.pdf


■お問い合わせ
プランテーション・ウォッチ事務局
熱帯林行動ネットワーク(担当:中司、吉田)
Email:jatan.office☆gmail.com(☆を半角@に変える)

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